non・no「PEOPLE・NOW」インタビュー
なりたくてなった歌手なのに、人前でしゃべるのも、歌うのも苦手なの!?
岡田有希子
おかだゆきこ 昭和42年8月22日生まれ。O型。獅子座。
58年「スター誕生!」でチャンピオンとなり、59年「ファースト・デイト」で
歌手デビュー。現在LP「ヴィーナス誕生」が好評発売中。
コンサート『ハートジャック』は4/5渋谷公会堂、4/6名古屋ほか。
おしゃべりもコンサートも苦手な、おっとりタレント!?
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*現在ヒット中の『くちびるネットワーク』は岡田有希子が歌う、カネボウの春のイメージ・ソングである。
また作詞をしているのが松田聖子自身ということでも大変話題を呼んでいる。
「聖子さんからの細かいアドバイスというのはとくになかったんですけど、
聖子さんも、レコーディングのときに来てくださって、実際に自分で歌ってくださったんです。
やっぱりうまいなぁと思った・・・すごいスターだなとも思うし、もう手の届かない人だと思いますね」
*サーモンピンクのニットスーツに身を包み、ニコニコしながら話すユッコこと岡田有希子ちゃん。
おっとりしたお嬢様の雰囲気たっぷり。アイドルタレントは次から次へと大量生産され、
ファンの側も名前と顔を一致させて覚えるのがむずかしいくらい。
この激しい世界で、ユッコお嬢様はデビュー2年でなかなか目覚しい活躍をしてきた。
「何か流れみたいなものがあると思うから、それにもう任せちゃうのも必要じゃないかなと思うの。
開き直っちゃったというか、マイペースでやろうと。うまくいってるときはその流れにのるのも大事だと思うし、
ダメなときはダメで、逆にその分、暇になるから、そのときこそレッスンしたりできると思うのね、
お金がなくなってレッスンするお金もないかもしれないけど、でもそのときは何とかなるという楽天的な考え方なんです」
*ユッコ自身、2年前まではズブの素人だったわけだが、アイドルを目指す女の子たちは後を絶たない。
「アイドルタレントになりたいというのが、軽い気持ちならやめたほうがいいと思うんですけど、
でもそういうのって他人からいわれてやめたりできるものじゃないと思うんですよね。
私も猛反対されたんだけど、もうそのときはそれしか見えなかったし・・・・。
でも自分が単純に憧れていただけの世界じゃないというのは分かりました」
*彼女にとっていちばんつらかったことは、自分が全然知りもしない人から陰口をたたかれることだった。
きらびやかな華やかさに憧れて芸能界へ足を踏み入れたものの、つらいこと厳しいことはたくさん待ち構えていた。
アイドルタレントたるもの、ただニッコリ笑っていればいいというものでもない。
楽しいおしゃべりができなくてはダメ。ところが彼女はおしゃべりベタとくる。
「ラジオとか取材の場では、話せるんだけど、テレビで相手の人のテンポが早いと、
もうあぁーってなっちゃって『はい、はい』としかいえないままに終っちゃうんです」
*おっとり、のんびりした彼女の性格のなせる業。でたがり、目立ちたがりが多いのに、なんて珍しい性格だろう。
さらに彼女はコンサートが苦手というハンデも・・・?
「コンサートは緊張しちゃうから苦手なんです。歌っているときはいいんですけど、何か気になるんですね。
みんながどう思っているのか、反応ばかり気にして、歌ってて不安になってきちゃうんです。
その点レコーディングは、一人でその気に浸って歌えるから好きなんですけど・・・・
コンサートでおしゃべりするのは苦手ですね」 苦笑しながらユッコはいった。
*おしゃべりが苦手だったり、少々考え性だったりする彼女だが、昨年はドラマに大活躍。
とても引っ込み思案の女の子には見えない。ドラマ『禁じられたマリコ』では超能力を持つ少女を好演して見せた。
「超能力とか確かにあると思いますね。自分には全然、超能力も霊感もなくて、
金しばりにあったこともないくらいなの。もし私が超能力を持てるなら、
タイムトラベラー(時間旅行ができる人)になりたいですね」
*うっとりと語るユッコは、占いも大好き。以前にある人から、彼女は飛び跳ねるほどうれしいことをいわれた。
「うっふっふ、以前にね、『ベストテン』にでたとき、『新宿の母』に運勢を見てもらったんです。
そしたら玉の輿にのるっていわれたの。すっかりその気になっちゃって」
*確かにユッコには青年実業家とか老舗の2代目とかが合っているように見える。
18歳の彼女が定めた結婚年齢は23歳。まだ5年の猶予がある。若いっていいな!
「自分がボヨヨ〜〜ンとしているから、相手がしっかりしている人がいいですね。
私のことをしようがないやつだな、と受けとめてくれる人。じっくり仕事をしながら、
相手のことも見ながら、それで23歳くらいで結婚して、とにかく絶対30までには片づきたい」
*断固たる口調で 「心の支えになるような恋をしていたいの。そのほうが仕事もできると思うの」 といった。
*忙しいスケジュールの合間にフト頭をかすめる、恋、結婚。せつない彼女の女心である。
「もしかして、この取材したものをどこかで読んでくれているかもしれないとか、
賞を取ったら駅の売店で見てくれるかもしれないとか、
チャンネルをひねったときに見てくれている人がいると思うと、
仕事をしていても張り合いがあると思うんです。でもね、聖子さんなんて、
あんなに忙しい人がどうして結婚できたのか不思議でね。私なんかとても無理だろうなと思っちゃう」
*心配性も多少入りまじる18歳のユッコだ。高校も無事卒業。
人並みに女の子らしいプライベートな時間を持つようにしたい、スポーツもしたいと、ユッコの胸は希望にふくらんでいる。
「仕事一筋というと、逃げ道がないし、別な面も持っていたいから、
趣味も持って、テニスとかスキューバ・ダイビングもやろうと思っているんです。
一人暮しもしてみたいの。オーディオを揃えて、広々したスペースでビデオを見たりする部屋にしたい・・・」
*最近、彼女の話題の中心は雑誌『ぴあ』にはじまる。『ぴあ』を片手に映画館巡りもする。
つい最近感銘を受けたのは『女優フランシス』と『トラヴィアータ』。
両作品とも通受けするシブイ作品を選ぶあたりがスゴイ。邦画では『恋文』に涙したそうだ。
読書もかかさない。渡辺淳一作品やサガンの小説に心惹かれるというユッコ。
「自己主張の強い女性を描いている作品に共感するの。
ああいう役柄をやれるようになりたいなと思ったり。
すっごく悩み性で物事を突きつめて考えちゃうタイプなんです。
でも、立ち直りも早くて、どっかですぐもういいやって開き直っちゃうの」
*先輩への挨拶をしそびれたことで悩んでしまう、ちょっぴり臆病な一面も。
歌手と女優、両面を自在にこなしているユッコだけど、
現在成長過程。様々な可能性を秘めて才能がスパークする日は間近だ。
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切り抜きだけしか取っていなかったのでいつの号か分かりません。(^-^;
’86年3月下旬〜4月初め頃発売されたように記憶しています。